師匠のこと1

師匠のこと。最近、問い合わせをいただいた。師のことが載っているとのことで資料を送ってあげた所、丁寧なお手紙とお品をいただきました。大変感謝すると共に少しでもお役に立ててよかったと思っています。師に対する想いが私にも届きました。

 

私のH流の師匠のことも少し書きたいと思う。我が師はもう亡くなっています。交通事故と病気で晩年は大変でした。師は一流企業に勤めていたにもかかわらず、それを捨てH流の武道と治療一筋で生きてきました。薬の副作用で手や足がむくんでいたことも多々ありました。良い面ばかりではなく悪い面もありました。お金に対して厳しく、外人さんが来月から入門するからと来て、紹介した門下生が今月一回くらい稽古させてくださいと言ってもお金を取るとか言ったり、半年前に止めた門人に請求書を送ったりと。また帰りが同じ方向の人は途中まで車で送ったりとしていたのですが、止めるように注意したりとか。門下生を信用していないのかと思ったものです。道場生の飲み会とかではいつも先生の批判があったものです。ただ稽古に対する情熱はすさまじく、東京へ子供のところに行っても稽古時間になると帰るとか言い出すとか。(奥さんの話)特に晩年は病気がひどくて稽古の相手を務めるのにお互い向き合って座り、師がそのまま眠ってしまうとか。いびきをかいて眠ってしまったり、血を流したり、よだれを流したり、お漏らしをしたり。それでも稽古だけは出てきていました。

最後の方は私は忙しくなり、なかなか稽古へは行けなかったのですが師の相手を務めてくれたY君にはただただ感謝です。某誌より取材の話もあったのですが、病気を理由に断わっていました。我が師を見習って稽古に取組んでいきたいと思っています。普通はいち、に又はいち、に、さんで掛ける技をいちで掛ける技に、大きい動きの技を小さく掛ける技に昇華した所に師の偉大さを感じています。